講座/専門種目 : 土壌学
構成員 : 教授 小崎 隆
助教授 舟川晋也
助手 矢内純太
ポストドクトラルフェロー 1名
大学院博士後期課程 5名
大学院修士課程 9名
専攻4回生 5名
研究生 1名
A. 研究活動(2000.1〜2000.12)
A-1. 研究概要
本講座は、広く土壌学を取り巻く諸事象の解明、土地資源の有効利用および環境保全・修復に関する研究を行なっている。
a) 熱帯圏および乾燥地の土壌特性、土壌管理および環境保全に関する研究
熱帯および乾燥地の生態環境基盤としての土壌の特性や農業生産の制限要因を明らかにし、環境調和的な土地利用や荒廃土壌の修復の方途を探るための研究に取り組んでいる。今期は、中央アジア(カザフスタン、ウクライナ)ステップ穀作地帯における炭素、窒素、水などの物質循環の解明と現行農業の持続力評価、東南アジア・モンスーン地域(タイ国北部)及び多雨林地域(インドネシア)における農業基盤の解明とその変容過程、アフリカ(ブルキナファソ)における在来農法の土壌管理技術と人為−環境対応の関係、さらには中近東(シリア)の半乾燥地における土壌侵食危険度の面的評価、について調査研究を実施した。
b) 土壌酸性化に関するダイナミック・ペドロジー
日本各地の異なる母材上における鉱物風化過程・土壌生成過程を素材として、森林土壌の酸性化過程における非晶質酸化物の酸緩衝能ないしは生態系外への酸流出遅延機能について研究を進めている。
c) 土壌特性値の空間変動の評価とその応用に関する研究
ジオスタティスティクス(空間統計学)という手法を用いて土壌特性値の空間依存性を評価し、空間変異をも考慮した土壌管理技術を確立するための基礎的知見を得ることを目的とする。今期は、精密農業の実践的研究として、水田における土壌特性値と可変施肥の下での収量の空間変動について解析するとともに、傾斜畑における土壌理化学性と作物収量および品質の空間変異について解析を行った。
d) 重金属汚染土壌の修復に関する研究
人間活動の拡大と多様化に伴い、重金属による土壌汚染が深刻化しており、その実態の把握と修復技術の確立へ向けた基礎研究が求められている。今期は、汚染土壌中のカドミウムの存在形態と可給度について、その時間的変異とともに根箱を用いて根圏環境での空間的変異の評価を行い、植物を利用したカドミウム汚染土壌の浄化(ファイトレメディエーション)技術の確立に取り組んだ。
e) 根圏土壌の養分動態に関する研究
土壌と植物の接点である根圏に注目し、その領域での養分動態を調べ、土壌‐植物間の相互作用について考察することを目的とする。今期は、植物根からの距離に応じて土壌を採取できる栽培装置「根箱」を用いて、根圏における各種形態のカリウム濃度の空間的経時的変化を測定し、土壌から植物へのカリウム供給機構の評価を試みた。
f) 森林の堆積腐植層と土壌表層の形態とその機能に関する研究
森林の堆積腐植層と土壌表層は地上植生の影響を強く受け、その変化に敏感である。ここで生じる様々な生態的プロセスや水保全などの機能は、異なる植生下でどのような差違があるのか。これらを形態的特徴から明らかにする為の基礎情報を収集した。又、水保全機能を評価する目的で表層水分のモニタリングを行なった。
g) 耕地土壌の物理性の悪化機構とその修復に関する研究
造成畑や一般畑の物理性悪化(土壌クラスト形成、固結など)の機構を明らかにし、合理的な土壌管理法や保全対策に有効な土壌学的対応を確立することを目的とする。今期は、土壌団粒の性状評価法および易分解性有機物の団粒安定性に及ぼす影響評価の実証試験を行なった。
A-2. 研究業績
a) 成果刊行
著書・総説
小崎 隆、犬伏和之、加藤尚武、石 弘之、松本 聰 2000:21世紀における「人」・「土」・「環境」、日本土壌肥料学会誌、第71巻(第6号)934-937
矢内純太、小崎 隆 2000:ペドメトリックス−その理論と応用−1.等値線図はどのようにしてつくるの?:ジオスタティスティクス、日本土壌肥料学会誌、71(5)、726-732
原著論文
Shinjo,
H., Fujita, H., Gintzburger, G. and Kosaki, T. 2000: Impact of grazing and
tillage on water erosion in Northeastern Syria, Soil Sci. Plant Nutr., 46(1),
151-162
Shinjo,
H., Fujita, H., Gintzburger, G. and Kosaki, T. 2000: Soil aggregate stability
under different landscapes and vegetation types in a semiarid area in
Northeastern Syria, Soil Sci. Plant Nutr., 46(1), 229-240
Moritsuka,
N., Yanai, J., and Kosaki, T. 2000: Effect of plant growth on the distribution
and forms of soil nutrients in the rhizosphere. Soil Sci. Plant Nutr., 46(2),
439-447
Yanai,
J., Lee, C.K., Umeda, M., and Kosaki, T. 2000: Spatial variability of soil
chemical properties in a paddy field., Soil Sci. Plant Nutr., 46(2), 473-482
Moritsuka,
N., Tanaka, U., Tsunoda, M., Mtakwa, P., and Kosaki, T. 2000: Significance of
plant residue management under the Matengo Pit System in Mbinga District,
Southern Tanzania. Jpn. J. Trop. Agr., 44(2), 130-137
矢内純太、李 忠根、梅田幹雄、小崎 隆 2000:ジオスタティスティクスを用いた水田における土壌化学特性値の空間変動解析、日本土壌肥料学会誌、71(4)、520-529
Moritsuka,
N., Yanai, J., and Kosaki, T. 2000: Non-destructive method for determining
temporal and spatial changes of the soils solution chemistry in the rhizosphere.
Soil Sci. Plant Nutr., 46(3), 713-719
Funakawa,
S., Suzuki, R., Karbozova, E., Kosaki, T., and Ishida, N. 2000: Salt-affected
soils under rice-based agriculture in southern Kazakhstan. Geoderma, 97, 61-85
光永 歩、矢内純太、小崎 隆 2000:造成農地における熟畑化規定要因の解析、日本土壌肥料学会誌、71(5)、666-673
報告書等
小崎 隆 2000:造成後における土壌の化学性の解析調査−造成農地のおける熟畑化の現状と課題−(その1)、畑地農業、504、2-19
小崎 隆 2000:造成後における土壌の化学性の解析調査−造成農地のおける熟畑化の現状と課題−(その2)、畑地農業、505、13‐33
舟川晋也 2000:インドネシア・カリマンタン島焼畑農業地帯における耕地保全型代替農業の開発に関する土壌生態学的研究,研究紀要,第13巻,財団法人アサヒビール学術振興財団,p.169-180
b) 学会発表
日本土壌肥料学会2000年度大会(東京、2000.4.2-4.4):8件
日本土壌肥料学会2000年度大会シンポジウム(東京、2000.4.4):1件
日本土壌肥料学会関西支部大会(鳥取、2000.12.1):1件
A-3. 国内における学会活動等
所属学会(役割)
小崎 隆: 日本土壌肥料学会(評議員)、日本ペドロジー学会(評議員)
科学研究費等受領状況
科学研究費:基盤研究(A)1「地球温暖化抑止対策のための土壌生態系炭素収支モデルの構築」(小崎分担)、基盤研究(B)土壌水分モニタリングシステムを用いた湿潤熱帯傾斜畑における土壌侵食発生過程の解析(舟川代表)
A-4. 国際交流・海外活動
国際共同研究、海外学術調査等
小崎 隆:カザフスタンおよびウクライナ乾燥地・半乾燥地における土壌劣化過程の解析とその修復に関する研究(カザフスタン、9.4-9.19;ウクライナ、5.23-6.22)
舟川晋也:カザフスタンおよびウクライナ乾燥地・半乾燥地における土壌劣化過程の解析とその修復に関する研究(カザフスタン、3.31-6.9, 9.2-9.30, 10.15-10.25;ウクライナ、----)、熱帯アジアにおける農業生態系に関する基礎調査(タイ、インドネシア、2.23-3.22, 7.4-8.9, 12.12-12.22)
矢内純太:カザフスタンおよびウクライナ乾燥地・半乾燥地における土壌劣化過程の解析とその修復に関する研究(カザフスタン、9.5-9.19)
所属学会等
小崎 隆: International Union of Soil Science、American Society of Agronomy、 Soil Science Society of America、The Clay Minerals Society
舟川晋也: International Union of Soil Science
田中 樹: International Union of Soil Science
矢内純太: International Union of Soil Science
B. 教育活動 (2000.4〜2001.3)
B-1. 学内活動
開講授業科目
学部: 生産環境科学概論、生物環境科学概論、生物圏の科学、環境科学、土壌学I、環境情報処理論(以上小崎)、土壌学II(以上舟川)、生物環境科学実習II、III、生物環境科学実験法および実験VI、土壌学演習(以上小崎、舟川、矢内)
大学院: 土壌学専攻実験、土壌学演習(以上小崎・舟川・矢内)、生物地球化学(舟川)
B-2. 学外における教育活動
小崎 隆:国際協力事業団集団研修講師(飼料生産・利用技術コース、農業農村開発環境保全コース、土壌診断環境保全コース)
B-3. 国際的教育活動
留学生、外国人研修員等の受入れ
留学生:博士後期課程1名(カザフスタン)
C. その他
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